※この記事は前回の「家庭教師・個別指導塾・集団指導塾の比較表」で掲載した講師に関する項目(No.9~15)の評価理由について解説したページです。
まだ比較表を見ていない方は是非そちらからお先にどうぞ。
No9. 講師が頻繁に辞めない(=定着率が高い)
これはあくまでも私の経験則や周囲の話、調べた範囲内ので個人的な見解なので一つの参考程度に捉えてください。
家庭教師(◎):時給が高い=辞め難い
家庭教師は学生の先生も多いですが、比較的時給が高いこともありそう簡単には辞めたりしないでしょう。
だいたい時給で2,000円くらいもらえますし、スケジュールも生徒と相談しながら柔軟に決められるので働く環境としてはそこまで悪くないと思います。
ただ移動時間は時給が発生しないので、あまり遠いお宅だと引き受けない場合もあります。
また教員を目指しながら家庭教師をしているという人も多いので、指導者としての意識は高い方だと思います。
1対1で指導するので先生も自分の実力が試されるわけですし、おごりという意味ではありませんが「自分が育てているんだ!」という気持ちも強くなります。
そうなると自然と情が深くなり、途中で見捨てるなんてこと簡単にはできません。
ある一定の目標までは一緒に取り組む家庭教師が比較的多いと思います。
学生講師はだいたい就職とともに辞めますが、それでも数年は続ける人が多い印象です。
よって評価は(◎)です。
個別指導塾(×):タダ働きが多く辞める講師が多い傾向がある
個別指導塾の場合はちょっと深刻かもしれません。個別指導塾はチェーン展開されている塾が多く、そのためビジネス思考が強い傾向にあります。
経営者が教育にあまり関心がない、あるいはド素人というケースもあるようです。
経営者がビジネス思考が強いため人件費を安く抑えようと、講師をほとんど学生でまかなう塾が多く、そして彼らが頻繁に辞めてしまうという事が近年問題(課題)になっています。
一番の要因はお給料や待遇の問題でしょう。
求人で一見お給料が高いようにみせかけて、実際は授業以外の仕事を無給でさせられることが多く、求人情報にある通りは貰えないという声はよくききます。
時給計算すると300円程度になる塾もあるようです。
よって個別指導塾の場合、「講師が頻繁になめない」という評価については(×)ということになります。
集団指導塾(△):経営方針次第ではたくさん辞める
可もなく不可もなくというのが私の印象です。講師の定着率は本当に塾の経営方針次第です。
講師への待遇が悪かったり、生徒への指導方針が悪かったり、「親が行けっていうから来てやってるだ!」という精神的に未熟な生徒ばかりを集めている塾だと有能は講師はどんどん辞めていきます。
逆に待遇も良く、生徒への指導方針も生徒のためになるよう考えられている塾であれば、有能な講師がどんどん集まってきます。
よって評価は(△)です。
【 ちょっとここで私の経験談】
私が塾の講師を辞めた理由も
- 無給で働かされた
- 遠くの教室に指導に行っても交通費を満額貰えなかった
- 指導方針が「生徒の点数・成績UP」ではなく「いかに生徒に好かれ親にゴマをすれるか」というのが実態だった
- 塾=遊びの場という認識の生徒がほとんどだった
からです。
最悪なのが、生徒が授業妨害しても絶対に注意してはいけなかったんです。
注意したら逆に講師が親や塾長や経営者に怒られていました。
「こんな授業になっていない状態を続けてては生徒たちの学力は上がらない」と私も訴えたのですが、経営者からは「そんなの分かってるし、それで構わない。生徒と親のご機嫌さえ損ねなければいい」といった趣旨の説教をされました。
友人の頼みで引き受けた案件でしたが、実情を知ってしまった以上、講師を続けるわけにはいきませんでした。
No10. 学生講師が多い
家庭教師(◎):学生講師が多い
家庭教師は学生が結構多いです。よって評価は(◎)です。
ただし、学生家庭教師だからダメ、社会人家庭教師だから良いというような単純な判断はできません。
学生家庭教師でも有能な家庭教師もいれば、怠ける家庭教師もいます。
社会人家庭教師でも怠け者や指導する気のない質の悪い家庭教師はいます。
そういった低レベルな家庭教師を選ばないためにも、これまでの実績を資料で見ること、そして面談や体験授業をすることが大切です。
学生でも社会人でも質の良い家庭教師もいれば質の悪い家庭教師もいることを念頭において先生を探すことが、家庭教師で失敗しないコツです。
個別指導塾(◎):学生講師が多い
個別指導塾は学生講師が非常に多いことで有名です。よって評価は(◎)です。
残念なのが、質も悪いという話をよく耳にすることです。
理由としては個人的に講師になれるハードルが低いからではないかと思っています。
家庭教師の場合も家庭教師になること自体は簡単なのですが、実際に生徒を紹介してもらえるかは別の話しです。
何度か指導して実力がないと派遣会社に判断されれば、その後は紹介してもらえません。
質が悪い仲介業者でない限り派遣会社は生徒を紹介する際、「その家庭教師が指導できるレベルの生徒」を紹介するシステムになっている事が多く、レベル的に指導ができないという事態はある程度は避けられます。
しかし個別指導塾の場合は流行りもあって過剰なチェーン展開で利益追求に走りすぎるあまり、「その講師が指導できるレベルの生徒かどうか」なんて考えていない個別指導塾も多いようです。
そのため生徒の質問に答えられないという事態が繰り返され、「あの講師は答えられないからダメ」「あの塾は答えられない講師が多い」と口コミが広がってしまうのです。
でも生徒側が講師を変更することはあまりできないので、評判が悪くなってしまうという流れができているのだと思います。
集団指導塾(○):学生講師もそこそこ多い
集団指導塾も学生講師は多いです。
そこそこ時給も高く、家庭教師のように生徒宅から次の生徒宅へ移動する必要もないため効率的に稼げるので学生には人気なんです。
そして教員を目指している学生にとってはお金をもらいながら自分の勉強にもなるので一石二鳥なため、教員を目指す学生には特に人気です。
もちろんプロ講師や社会人の講師だけしか在籍していない塾もたくさんあります。
よって集団指導塾は学生講師もそこそこ多いということで評価は(○)です。
また集団指導塾の場合は塾側が学生講師に教材研究を義務付けたり、学生講師の教育(研修)を行っている塾も多いので学生だから必ずしも指導できないとは限りません。
勘違いされる方も多いのですが、学生講師でもきちんと勉強や指導研究をしていれば、塾で指導することは十分可能です。
No11. プロ講師が多い
家庭教師(△):プロ講師は少ない
家庭教師業界はやはり学生家庭教師の方が多いですが、プロ家庭教師も少しはいます。
よって評価は(△)です。
しかし勘違いしてはいけないのが、何でもプロに頼めば良いというわけではないという点です。
当然のことながら、学生家庭教師よりプロ家庭教師の方が料金は高くなります。
プロ家庭教師は教え方が上手いだけでなく、それなりの実績や経験も評価され業者側からプロと認められているわけから、学生より料金が高いのは当たり前です。
お金に余裕があるならプロを雇ってもいいですが、プロに習わなければいけないレベルなのか?ということも考慮する必要があると思います。
例えば
- 英語でアルファベットがまだ覚えられない
- 掛け算九九がまだ覚えられない
など難易度が高くないレベルの指導に対し、あえて高い料金を払ってプロに指導してもらうのは費用対効果的に考えると費用がかかりすぎです。
おおよそですが、私が考える「プロ家庭教師を頼んだ方がいい生徒の基準」は以下の通りです。
- 中学受験をする生徒
- 高校・大学受験で難関校を受験する生徒
- 難関校に在籍中の生徒
- 学生家庭教師では指導できないレベルの問題ばかりに取り組んでいる生徒
こいうった生徒はプロ家庭教師を頼んでも高い料金を払うだけのメリットは得られると思います。
中間レベル以下の指導を受ける生徒であれば学生家庭教師でも十分に成果は出せると私は思います。
プロ家庭教師は学生家庭教師に比べて指導歴が長く実績も豊富なので、難易度の低い指導も上手くできますが、指導の上手い学生講師に頼んだ方がコスパがいいです。
あと、プロ家庭教師といっても指導歴や実績の伴う「本物のプロ」と「社会人=プロ」の2種類がいるので前者を見つけることが重要です。
プロ家庭教師のみが在籍している会社はこちらです。
個別指導塾(△):プロ講師より学生が多い
私の個人的な感覚では個別指導塾の講師は学生講師が最も多いと思います。
プロ講師が指導している個別指導塾はあまり聞いたことがありません。
「家庭教師より安い料金で個別に指導が受けられる」というのが個別指導塾の本来のメリットですから、プロ講師から指導が受けられるとはいえ、料金が高くなるとそのメリットは薄れます。
だから人件費の安い学生講師を雇わざるを得ないということになるわけです。
しかし中にはプロ講師をおいて上手く経営ができている個別指導塾もあります。
そのような個別指導塾が近所にあればラッキーですね!
よって個別指導塾のプロ講師が多いかどうかの評価は(△)です。
プロ講師のみの塾はこちらです。
集団指導塾(○):プロ講師も学生も多い
集団指導塾はそれぞれの塾の方針次第です。
受験の中でも特殊とされる中学受験を目指す塾はもちろん、高校・大学受験の中でも難関校への受験を目指す塾、あるいは難関校に在籍する生徒向けの塾などは指導する内容が難しいのでプロ講師が多くなります。
逆に中堅以下の高校や大学の受験が目標だったり、難易度が高くないレベルの指導が中心の塾なら学生講師も多くそれなりに雇っています。
よって評価は(○)です。
No12. 講師が生徒の進行状況を把握してくれる
家庭教師(◎):生徒の進行状況を常に把握できる
ズバリ!可能です。そのための家庭教師(=自分だけの先生)なのです。
家庭教師は学校の成績やテストの点数だけをみているのではありません。
生徒が解説を聞いている時の表情をみたり、問題を解いている最中も、家庭教師は生徒の表情やえんぴつの動きを見ながら
- どんな解き方をしているのか
- どこでよく引っかかるのか
- どこがすらすら解けたのか
などじっと観察しながら生徒の進行状況を常に把握しようと努めているんです。
よってこの項目の家庭教師の評価は(◎)です。
個別指導塾(△):多少は把握できる
家庭教師より実質の指導時間が短いにしても、個人指導塾も一応1対1で指導が受けられるのである程度なら生徒の進行状況を把握することは可能です。
しかし、講師の頭の中は1人の生徒だけに集中しているわけではなく、他の複数の生徒にも気を配りながら指導に当たっています。
ということは授業中1人の生徒だけに集中している家庭教師に比べると、生徒1人に対する進行状況の把握の度合いは、受け持っている生徒の人数が多ければ多いほど低くならざるを得ません。
家庭教師のように同時に2~3人までならそれぞれの生徒が進行状況を観察できますが、4人以上となると、各生徒の進行状況を細かく把握することは難しいと思います。
よって個別指導塾の評価は(△)です。
もちろん個別指導塾でも1人で4人以上受け持つ個別指導塾ならば評価は(×)になります。
集団指導塾(×):あまり把握できない
集団指導塾では生徒一人ひとりの進行状況を把握することは、まずできません。
塾のテストや授業中の皆の反応でクラス全体のレベルや理解度はある程度把握できますが、クラスの全生徒が今どこでつまづいて、どこまで理解してるのかなどの進行状況を1人の講師だけで細かく把握することはできません。
よって評価は(×)です。
もし集団指導塾でそれを望むなら授業以外で常に現状を把握できるサービス(相談サポートなど)を設けている塾です。
あるいは「一クラス5名以下」や「専任講師+補助講師1名以上」などの塾を選ぶと、家庭教師や個別指導塾ほどではありませんが、生徒一人ひとりの進行状況もある程度は把握しながら授業を進めてくれるかもしれません。
しかしその分は料金が高くなるでしょう。
No13. 性格やクセなど勉強以外の情報も把握してくれる
家庭教師(◎):性格やクセを把握して指導してくれる
家庭教師は勉強だけでなく、その生徒の性格やクセにも注目しながら授業をしています。
- 「この子はここで褒めるとやる気がでるな」
- 「ここで休憩入れとくと、また集中力が戻るな」
- 「宿題はメモさせておかないとまた忘れて違うページをやってきそうだな」
- 「学校のテストの日程を連絡するように、この子だけじゃなくお母さんにも言っておかないと、また急に『明日からテスト!』なんて言いかねないな」
という感じで勉強や勉強以外にも色々な視点から生徒に注目して指導にあたっています。
よって評価は(◎)です。
個別指導塾(△):時間をかければ把握してくれる
個別指導塾の場合はある程度可能です。
個別指導塾は生徒と講師が接する時間が短いので、直接勉強以外のことまで把握し、注意をはらって指導するということは家庭教師よりは難しくなります。
ただし絶対に無理ということではありません。
長いこと同じ講師に指導してもらえば、ゆっくりではありますが勉強以外の事も把握してくれるでしょう。
家庭教師ほど把握してもらうには時間がかかるということですね。
よって評価は(△)です。
集団指導塾(×):ほぼ無理
集団指導塾の場合はほぼ無理です。
講師は一人で大人数の生徒を相手に授業をしますから、一人ひとりの学力や進行状況を把握するのも困難なのに、ましてや生徒一人ひとりの性格やクセまで把握するということはほぼ不可能です。
せいぜい名前や印象くらいまででしょう。
あとはテストの点数や宿題のでき具合など集めたデータから一人ひとりの情報を把握することくらいです。
よって評価は(×)です。
No14. 講師が生徒の学力レベルを把握してくれる
【注目!】
講師が担当の生徒の学力レベルをどれだけ把握しているかで、授業の進め方や宿題の量、宿題のレベル、今後の授業計画などが大きく変わってきます。
なので講師が生徒の学力をどれだけ把握することができるのかも、家庭教師か個別指導塾か集団指導塾を決める際の注目ポイントです。
サブ的な役割として家庭教師か個別指導塾のどちらかを取り入れたい場合は、学力レベルの把握がそこまで重要ではないので、個別指導塾でも十分にやっていけるでしょう。
逆に家庭教師か個別指導塾かをメインにと考えている場合は、学力レベルの把握はかなり重要です。
よって自ずと家庭教師か、完全な1対1の個別指導塾を選ぶことになるでしょう。
家庭教師(◎):生徒の学力レベルを把握して指導する
家庭教師なら可能です。進行状況の項目と同様に、家庭教師は授業中その生徒が
- どんな解き方をしているのか
- どこでよく引っかかるのか
- どこがすらすら解けたのか
などを生徒の表情や手の動きを観察しながら指導に当たっています。
これは進行状況の把握できるだけではありません。
このような観察作業に加えて、生徒からの質問の内容やその質問に対する家庭教師からの回答を聞いた時の生徒の反応など、様々な角度から生徒を観察し今この子はどの位置(学力レベル)にいるのかを把握するように家庭教師は努めているのです。
個別指導塾(△):時間をかければ把握してくれる
個別指導塾の場合は同時に受け持つ生徒の人数によります。
受け持つ生徒が1人でない限り、学力レベルの把握の度合いは家庭教師に軍配が上がります。
しかし基本的に個別指導塾でも受け持つ生徒が2~3人までなら、それぞれの学力レベルをある程度は把握できるでしょう。
もちろんこれは講師の力量によって2人なのか4人なのかはたまた5人までなら把握できるのかは違ってます。
よって評価は(△)です。
集団指導塾(×):ほぼ無理
集団指導塾ではほとんど無理に近いです。
学校と塾のテストや成績からある程度の学力レベルを把握することはできますが、担当の講師がクラス全生徒の学力レベルを一人ひとり細かく把握することはできません。
よって評価は(×)です。
No15. 講師が良きお兄さんお姉さんの様な精神的支えになる(信頼関係の構築)
家庭教師(◎):良きお兄さんお姉さんとして精神的な支えになれる
信頼関係の構築は家庭教師の大きなメリットの一つとしても有名です。
講師が良きお兄さんお姉さんとして精神的な支えになれるとこれまで勉強しなかった子が勉強するようになったり、受験で不安な時に支えになったりするなど良い影響がたくさんあります。
この三者の中で、家庭教師は授業中に生徒と1対1で接する時間が最も長いですし、休憩時間や授業の前後にも世間話などするのでその分講師先生との心の距離も縮まり易いのです。
また生徒と歳が近い講師も多く親近感も覚えやすいんですね。
ある程度の信頼関係が築ければ生徒も聞く耳をもって授業を受けるので、以前よりも集中力や理解できる量が増えてきます。
そうなれば自分に自信を持つようになり、勉強が好きになる生徒も多いです。
よって評価は(◎)です。
個別指導塾(○):ある程度の支えにはなれる
個別指導塾も一定の時間は1対1で指導が受けられますし、生徒と歳が近い講師も多いので信頼関係を築くことはできます。
しかし家庭教師ほどの接する時間はないのでやはり評価は若干下がります。
個別指導塾の場合は他の生徒ともコミュニケーションをとったり、指導したりしないといけないので、家庭教師のように「自分だけの先生」という意識は薄れます。
そうなるとどうしても信頼関係の度合いは家庭教師の方が有利になってしまうのです。
よって評価は(○)です。
これはあくまでも一般的な視点からの見解です。個別指導塾でも講師や生徒によっては家庭教師と同じくらい信頼関係を築いている人たちも中にはいます。
集団指導塾(△):深い信頼関係の構築は難しい
集団指導塾の場合は難しいです。
集団指導塾では、講師は個別指導塾よりも大勢の生徒を相手にするわけですから、一人ひとりと深く信頼関係を築いて良きお兄さんお姉さん的な存在となることは難しいです。
中には慕って接してくれる生徒もいるので、そういった生徒なら講師も気にかけてたまに世間話をしたり、学校生活の悩みや進路の悩みをきいたりしてくれる事もあるでしょう。
しかし全員となるとほぼ無理ですね。
また深さで比べても家庭教師ほどの関係は時間がないのでなかなか難しいです。
よって評価は(△)です。
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